とまとニュース電子版 2008年6月分

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No.906 2008年6月29日

住民無視の本町地区3校の統廃合による小中一貫校建設
党区議団、本町中学校仮校舎設置の補正予算に反対

 第2回定例渋谷区議会は17日の最終本会議で全日程を終え、閉会しました。日本共産党区議団は、桑原区長が提出した2008年度補正予算案(第1号)について、小中3校の統廃合による本町地区の小中一貫校建設を強行するものとして反対。五十嵐千代子議員が討論をおこないました。その大要は次のとおりです。
     ◇
 今回の補正予算は、東京都が現在、社会問題となっている若年層や低所得者層の人びとの生活安定のための就労相談、生活資金の貸し付けなどをおこなう総合対策事業を区に委託されたものをうけて、その相談窓口を児童センターに設置するために2100万円計上したことは評価します。
 しかし、予算は本町地区の小中一貫校建設を強行するために、本町東小学校に移転・同居させる工事費として9100万円を計上し、それが太宗を占めていることは認められません。
計画を新たな段階に
 じっさい、桑原区長のやり方は、対象となる3校の保護者が納得していないにもかかわらず、小中一貫校建設計画を新たな段階にすすめるため、この夏休みに本町中学校を本町東小学校に移すための工事をする強硬姿勢を示しているのです。
 今回の小中一貫校建設計画は、本町地区の子どもたちの未来と地域の将来がかかった、3つの学校を守るのか、1校に統廃合していいのか、という重大問題です。それだけに、もっとも教育的な配慮がなされ、民主主義が尊重された方法で決めなければなりません。ところが、区長のやり方は、保護者はもとより住民の意見をまったく聞こうとしていません。
考える機会を与えて
 昨年11月21日に桑原区長が施設整備計画の一環として、本町地区小中一貫校建設を発表して以来、保護者は、突然発表された計画に驚き、説明会に参加し、質問や意見を出してきました。
 しかし、区や教育委員会は、発表した小中一貫校建設計画を推進するという説明を繰り返すだけで、保護者の意見を全然聞こうとしませんでした。
 このため、3校のPTAの役員などが保護者の思いや意見をまとめるためのアンケートを実施。その結果は、計画は突然なので、考える機会を与えてほしい、という意見が圧倒的でした。
 このアンケート結果を踏まえ、保護者は、計画の延期を求める区長宛の署名運動を展開し、約4300人から寄せられた署名を区長に提出し、計画の延期を求めたのです。
9100万円の設置・移転費
 しかし、桑原区長は、この署名に対し「アンケートは意図的なもの」と切り捨て、保護者の意見を無視。2008年度予算に小中一貫校建設のための設計費を計上し、今回の補正予算で本町中学校敷地に一貫校を建設するため中学校の仮校舎設置・移転費として9100万円の予算を組み、工事に入ろうとしているのです。
 こうした桑原区長の保護者や住民を無視するトップダウンのやり方は認めることはできません。

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渋谷区議会「後期高齢者医療制度」中止の請願否決
福祉保健委員会は可否同数、委員長採決で採択

 17日開かれた第2回定例渋谷区議会最終本会議で、福祉保健委員会で採択された「高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の撤回を求める意見書提出に関する請願」と「後期高齢者医療制度の撤回を求める意見書」について採決がおこなわれ、15対18で「請願」と「意見書」は否決されました。
     ◇
 「高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の撤回を求める意見書提出に関する請願」は、渋谷社会保障推進協議会を中心に76団体から提出されました。紹介議員は日本共産党の4議員だけ(無所属の東敦子議員は審議する福祉保健委員のためできず)でした。
 しかし、高齢者に重い保険料を押しつけながら、受けられる医療は制限するという希代の悪法である後期高齢者医療制度に対する区民の怒りと批判は強く、福祉保健委員会で審議した結果、「請願」は日本共産党、民主党、真自由政経フォーラム、無所属の東議員の4人が賛成に。
 採決では自民、公明党の4人が反対。可否同数となったため、共産党の菅野茂委員長の裁決によって「請願」は採択されました。
 そして、委員会として本会議に提出する衆・参議長と総理、厚生労働大臣あての「意見書」について協議がおこなわれ、国民の切実な声にこたえて「後期高齢者医療制度を直ちに中止すること」を内容とする「意見書」を提出することが決定されました。
 この結果を受けて、17日の本会議で「請願」と「意見書」が議題となり、可否決定がおこなわれました。
 社会保障推進協議会に加わる東京土建渋谷支部や渋谷生活と健康を守る会、新日本婦人の会渋谷支部などから37人の人びとが傍聴席で見守るなか、まず「請願」が議題となり、各党代表が討論に立ちました。
 自民党の前田和茂議員が反対討論に立ち、「後期高齢者医療制度」は、高齢者がムダに医療費を使っているのを改めるために導入されたものであり、これを中止することは医療のムダを復活させるものだなどと、高齢者と医療関係者を攻撃する支離滅裂な反対論を展開。
 日本共産党の森はるき議員と民主党の浜田浩樹議員が賛成討論に立ち、森議員は、政府が廃止を求める世論に押されて見直し案をまとまたものの内容は75歳で差別する根幹には手をつけず、極少数の低所得者への当面の負担軽減で済ませようとしていることを糾弾し、ただちに廃止することを強く求めました。
 採決の結果、賛成は共産、民主、真自由、無所属・東議員の15人で、反対が18人のため惜しくも「請願」と「意見書」は通りませんでした。

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区長と一体となって議員がトルコ、フィンランドへ
議員の海外派遣が自民、公明、民主などの多数で決定

 6日開かれた第2回渋谷区議会の本会議で、木村正義議長(自民)から8人の区議会議員を9月2日から10日までトルコ、フィンランドの2カ国に派遣することが提案されました。日本共産党区議団の6議員と無所属の東敦子、小林崇央議員が反対しましたが、自民、公明、民主などの賛成多数で可決されました。
     ◇
 今回の区議会議員のトルコ、フィンランドへの派遣は、桑原区長から「トルコ共和国との文化交流の発展とフィンランド共和国の教育に関する調査研究を通じた都市交流を行なう」との要請を受けて派遣されるもの。
 桑原区長をはじめ、古川満久総務部長、佐藤賢哉総務部経理課長、須藤憲郎土木部道路課長の4理事者と8人の議員が同行する形となっています。
自民4、公明2、民主2
 また、派遣が決定された議員は、自民党から木村正義議長をはじめ、丸山高司、染谷賢治、松岡定俊議員、公明党・伊藤美代子、栗谷順彦議員、民主党・岡田麻里、吉田佳代子議員です。
 この理事者と議員のトルコとフィンランドへの派遣に対する経費(予算)の総額は1156万4千円。1人当たり96万円にのぼります。
 これまで、トルコ・イスタンブール市ウスキュダル区と渋谷区が友好都市として提携するための調査(2005年)、そして、友好都市としての協定を締結する(2006年)ためとして、二度にわたってトルコへの議員と理事者の派遣が強行され、1274万円の血税が投入されてきました。
草の根の交流をすすめる
 日本共産党渋谷区議団は、自治体の国際交流について、区長や議員が税金を使って一方的に訪問、交流し、協定を結ぶという方法ではなく、区内に大使館がある国をはじめ、多くの海外の人たちと区民が交流しあう、草の根の交流をすすめていくべきだと考えます。
 今回のトルコとフィンランドへの理事者と議員の派遣について、区長は、トルコ・ウスキュダル区から招待をうけたこと、フィンランドについては、本区の教育課題である小中一貫校教育について調査・研究を深め、都市交流をするため、と説明しています。
 しかし、実際は、トルコに4泊、フィンランドに3泊の日程で、とくにフィンランドは土、日、月曜日の滞在となっており、公立学校の視察・表敬訪問は月曜日だけの1日しかありません。
区民合意のない小中一貫校
 また、小中一貫校についても区長と教育委員会が本町地区に一方的に押しつけているもので、4300人の区民から計画の延期を求める陳情が出されており、区民合意がまったくないものです。
 そうしたなかで、区政をチェックする区議会議員が、小中一貫校を推進・建設する区と一体となって行動をともにすることは、独立したチェック機関としての区議会の役割をみずから放棄するものです。この立場から日本共産党渋谷区議団は、今回の2都市への議員の派遣については断固反対しました。

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学校選択制によって生徒が特色ある中学校に集中
小学校は小規模校を敬遠する傾向がくっきり

 5月29日開かれた渋谷区議会文教委員会で、2008年度小・中学校の新1年生就学状況について報告を受けました。その結果、2004年度に「選択制」が導入されて以来、生徒が集まる学校とそうでない学校の格差が一段と激しくなっていることが明らかになりました。
     ◇
 2008年度の小学校入学対象者は1078人。そのうち、区立小学校に入学したのは883人でした。そのなかで、学区域の指定校に入学したのは625人で、他地域の学校に入学したのは、247人でした。
 小学校20校のなかで、入学対象者より入学者が上回ったのは、猿楽(28人→33人)、加計塚(53人→68人)、富ヶ谷(57人→58人)、中幡(60人→68人)、千駄ヶ谷(57人→63人)の5校でした。
 逆に対象者のうち指定校に半数も入らなかったのは上原(65人→27人)、代々木(29人→14人)、本町東(22人→10人)の3校でした。
 区立中学校8校の入学対象者は985人でしたが、そのうち、区立の指定校に入学したのは4分の1程度の277人。国立・私立校に入学した生徒は519人にのぼっています。
 入学対象者より入学者が上回ったのは英語を日常会話としてつかい英語教育を特色とする松濤中学校。68人の対象者でしたが入学は78人でした。
 反対に対象者が指定校に入学した割合が低かったのは、代々木中学校で219人の対象者のうち指定校に入学したのはわずか19人。本町中学校は102人のうち入学したのは18人。鉢山中学校は98人のうち指定校に入学したのは24人でした。
 小学校の場合、代々木、本町東、鳩森、神宮前の小規模校に入学せず近隣の学校に入学する傾向が強くなっています。中学校の場合は英語教育の松濤、新築で教科教室型教育の上原中学校に生徒が集中する傾向になっています。
 日本共産党渋谷区議団は、「学校選択制」について、格差をつくり、小規模の統廃合につながるときびしく批判してきました。現在、本町地区の小中3校を統廃合して小中一貫校をつくることが打ち出されたことは党区議団の指摘どおりの推移となっています。

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第2回定例区議会 区税条例一部改正案など審議
補正予算に小中一貫教育校仮校舎建設費

 5月22日開かれた渋谷区議会議会運営委員会で、6月5日から開会される提出予算議案について桑原区長から説明がありました。そのおもな内容についてお知らせします。
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 提出される予定の議案は、条例制定案1件、一部改訂案7件、補正予算案件1件、区道認定1件、専決処分の承認1件、報告案件5件の合計16件となっています。
 総務区民委員会に付託され、審議されるのが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部改正にともない規定を整備するための職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例、戸籍法等の一部改正にともない規定を整備するための渋谷区手数料条例の一部を改正する条例です。
 また、渋谷区特別区税条例の一部を改正する条例は、地方税法等の一部改正に連動しておこなわれるものですが、「ふるさと納税」の規定のほか、住民税を年金から「天引き」できる規定が盛り込まれることになります。
 渋谷区戸籍及び住民基本台帳事務における本人確認等に関する条例は、戸籍法等の一部改正によって本人確認の事務規定をかえるために条例を全部改正するもの。
 渋谷区監査委員条例の一部を改正する条例は、地方公共団体の財政に健全化に関する法律の施行にともない、区長から監査委員に審査を付す事項を追加するため規定を改めるものです。
 専決処分の承認についての議案は、国会日程の関係上、4月30日に区長が専決処分した渋谷区と区別区税条例の一部改正について審議されます。
 福祉保健委員会に付託され、審議されるのは2件で、子ども発達相談センター条例は、神宮前3丁目・渋谷学童館跡に開設される同センターの規定を整備するために制定されるものです。
 渋谷区介護保険高額介護サービス費等資金貸付基金条例の一部を改正する条例は介護保険法の一部改定にともない規定を整備するもので、渋谷区介護保険条例の一部を改正する条例は、介護保険法の一部改定にともない高額医療合算介護サービス費等の追加や規定を変更するためのものです。
 都市環境委員会に付託され、審議されるのは、特別区道路線の認定についての議案。目黒区境の恵比寿南2丁目29番先を起点・終点とする特別区代1071号路線について審議します。
 総務区民委員会に付託され、文教、福祉保健委員会で関連審議がおこなわれるのが2008年度一般会計補正予算(第1号)案。本町地区の小中一貫教育校設置のための仮校舎整備費として9100万円、生活安定サポート事業費として2100万円、合計で1億1200万円の補正となっています。

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