とまとニュース電子版 2007年9月分

 とまとニュースは、「しんぶん赤旗」折り込みで読者の方にお届けしているトマ孝二事務所ニュースです。
 トマ孝二ホームページでは、その主要な記事をご紹介しています。

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No.869 2007年9月30日

総額6億7746万円の補正予算案を審議
防災対策の前進や介護サービスで大幅に改善

 20日から開かれている第3回定例渋谷区議会に、総額で6億7746万1千円の2007年度一般会計補正予算(第2号)の議案が提出され、審議がすすめられています。補正予算の主な内容についてお知らせします。
     ◇
 まず、議会費として785万1千円の補正予算がくまれました。これは4月の区議会議員選挙後新たに発足した自治権確立、交通問題の二特別委員会の住民との懇談会や講師を呼んでの研究会などを開くための活動経費です。
 災害対策費として842万3千円計上されました。これは区内の全小中学校に停止した心臓を蘇生させるためのAED(自動対外式除細動器)を配置するものです。
防災ベッドや耐震シェルター
 また、建築物の耐震、促進補助費として6千2百万50万円盛り込まれています。これは老朽化した木造住宅に住む高齢者の安全のため防災ベッドや耐震シェルターを設置する場合の補助を新設し、耐震補強工事補助制度についてその補助額を最大150万円にするなど大幅に改善するものです。
 高齢者福祉費として、2826万6千円の補正が計上されています。その内容は、政府の介護保険制度改悪によって切りすてられた要支援2の人に対し、ヘルパーさんの訪問介護を週3回、1時間から2時間30分間での範囲で通院、散歩などの外出介助サービスをうけられるように改善するものです。
軽作業代行サービス
 さらに、独り暮らしの高齢者や老々世帯(日中独居、高齢者のみの世帯を含む)に対して、電気、水道等の簡単な部品交換をはじめ、介護保険制度の対象とならないベランダの掃除や窓ガラス拭き、庭木のせん定や水やり、除草などの軽作業をシルバー人材センターの軽作業代行サービスが実施されます。
 一方、区民の立場から突出していているのが、渋谷区青少年吹奏楽団創立30周年記念行事に対する1800万円の補助金。区内の小学5年生から大学生まで41人の団員と指揮者や育成会の役員など18人が来年の3月下旬から4月の上旬、オーストリアのウイーンやザルツブルグで演奏するための費用として計上されました。しかし、10周年のさいはドイツでの演奏で総額847万円、20周年はチェコを訪問しての演奏で562万円を支出。今回はその倍以上の予算となっていることは、異例で多くの区民から疑問やいきすぎだとの批判が出されています。

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談合事件の企業を旧大和田小跡地施設工事の業者に
トマ区議が代表質問で桑原区長の対応を追及

 20日開かれた第3回定例渋谷区議会本会議で、トマ孝二議員は日本共産党区議団を代表して①平和問題②区民生活防衛③震災対策④子育て支援問題⑤旧大和田小学校跡地施設建設問題⑥鶯谷遺跡の保存―の6つのテーマで区長に質問しました。そのうち、談合事件を起こした大建設会社を含む56社を旧大和田小学校跡地施設建築工事の指名業者にした問題を追及した質問の大要をお知らせします。
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 区長は、先におこなった今議会に対する「発言」で旧大和田小学校跡地施設建築工事について、今定例会に「建築工事請負契約を議案として提出し、平成22年6月の竣工に向けて、着実に事業を進めてまいりたい」と述べました。
 本年6月、防衛施設庁発注工事における独占禁止法違反に関して、大手建設事業者を含む56社に対して公正取引委員会が排除措置命令を出しました。
 ところが区長は学識経験者、弁護士など外部委員5人による「入札制度評価委員会」を設置し、そこから談合をおこなった場合、賠償金の額を3倍に引き上げるなどを予防措置とするという答申を受けたことを理由に、談合をおこなった56社を競争入札の指名業者にすることを明らかにしました。
 これまで区長は旧大和田小学校跡地施設建設計画についてたびたびトップダウンの手法をとってきました。今回の「入札制度評価委員会」の設置について、区議会や住民にはいっさい知らせず強行した区長の手法は、区議会や住民無視の秘密主義であり、絶対に許されるものではありません。区長の強引で住民無視の姿勢は改めるべきです。区長の見解をうかがいます。
 つぎに、区長の新たな方針によっておこなわれた13日の入札では、参加したすべての指名業者が辞退し、不調という事態となりました。税金を食い物にする談合事件を起こした企業に対し指名停止処分にせず救済するという区長のやり方は、公正な入札制度をゆがめるものです。こうした手法は大問題であり、ただちに改めるべきです。区長の見解をうかがいます。
 今回、ランニングコストが4億円でプラネタリウムの入場料やホールの使用料などで2億5千万円の収入があるという説明がありましたが、この根拠について多くの疑問があります。
 いま、多くの区民は、政府の庶民増税と福祉切り捨て政策のもと、きびしい生活を強いられています。そうしたなかで120億円もの莫大な血税を投入する旧大和田小学校跡地施設建設については、区政の優先課題ではないとして中止を求めています。計画は撤回すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。

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第3回定例渋谷区議会 20日からスタート
条例改正案や補正予算案、2006年度決算を審議

 6日開かれた渋谷区議会議会運営委員会に桑原区長が出席。20日から開催される第3回定例区議会に提出する予定の議案について説明をおこないました。その議案とおもな内容についてお知らせします。
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 条例議案は11件。総務区民委員会で審議される議案は5件です。
 「政治倫理の確立のための渋谷区長の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例」は、商法等の一部改正等にともなう規定の整備で、株取引への公開規定を変更するものです。
 「職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例」と「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」は地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正にともなう規定の整備です。
 「渋谷区手数料条例の一部を改正する条例」は、温泉法の一部改正による手数料の新設で、施設を継続する場合、新たに手数料を徴収することができる規定を設けるもの。「渋谷区公会堂条例の一部を改正する条例」は、午前9時以前も利用できるようにするものです。
 福祉保健委員会で審議されるのは3件。「渋谷区営住宅の一部を改正する条例」は、代々木3丁目に高齢者借上げ住宅「代々木西参道住宅」(世帯用4戸、単身用13戸)を開設するためのものです。
 「渋谷区高齢者センター条例の一部を改正する条例」は、区内で2番目となる「高齢者センター」を富ヶ谷2丁目に設置するもの。
 「渋谷区プールの衛生に関する条例の一部を改正する条例」は、学校教育法の一部改正にともなう規定の整備です。
 都市環境委員会で審議されるのは「渋谷区清掃及びリサイクルに関する条例の一部を改正する条例」で清掃工場に持ち込まれる廃棄物処理手数料について、1キログラム当たり28円を32円に引き上げるものです。
 文教委員会で審議される条例は2件。「幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」は、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正にともなう規定の整備で、「渋谷区立学校施設使用条例の一部を改正する条例」は、学校教育法の一部改正にともなう規定の整備です。
6億7746万円の補正
 また、6億7746万1千円の2007年度一般会計補正予算案(第2号)と「参宮橋高齢者センター」(仮称)の建築工事請負契約(2億160万円)の2件の議案については総務区民委員会で審議されます。
 このほか、2006年度渋谷区一般会計決算については、決算特別委員会が設置され、4常任委員会を基礎とする分科会できめこまかく審議されます。国民健康保険会計決算は総務区民分科会で、老人保健医療会計、介護保険会計決算は福祉分科会で審議されます。
2つの条例案を提出
 日本共産党渋谷区議団は、区民生活を守るため、今議会に2つの条例案を提出します。「特別区税条例の一部改正案」は生活保護費の1.1倍以下の収入の区民を対象に住民税を免除するものです。「重度要介護高齢者福祉手当条例」は、介護保険の要介護4度、5度の人を対象に月額2万5千円の手当てを支給するものです。

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保育料は事業者の自由設定の「認定子ども園」
保育のあり方に重大な影響を与える課題

 トマ孝二区議は、1日と2日に神奈川県横浜市で開かれた「第49回自治体学校」に参加し、「保育市場化と認定子ども園」の分科会で、渋谷区でも導入されようとしている「認定子ども園」について調査、研究。その内容を報告します。
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 最初に、大阪保育研究所の杉山隆一氏が「保育制度の解説と幼保一元化について」と題して①憲法・児童福祉法にもとづく保育制度の内容について共通認識をもつことで公的保育制度の意味を確かめる②幼保一元化と「認定子ども園」制度の関連と問題点を考慮する③保育制度改革に対する今後の運動の課題を考える―の視点から2時間にわたって問題提起しました。
 このなかで、すべての子どもに幼児教育を保障する―「認定子ども園」について、学校教育法と児童福祉法が根拠法となるが幼稚園の場合3歳児は35人に対し1人の職員配置であり、保育園の場合は20人に1人の職員配置となっており、それをどう一体化するのか、政府は2009年4月までに保育指針を作成し、普及しようとしているが、これにより子どもの生活環境がよくなるのか―と指摘しました。
 続いて、近藤幹生氏(白百合学園短期大学保育科)が「長野県内の保育所の状況」と題して報告。近藤氏は、認定子ども園の問題点について、保育所では義務づけられている調理室が義務づけられていないことは子どもたちの発達を保障するという点から認められないこと、また、入所選定や利用料については施設側に決定権が与えられることから、公正な入所が確保されるのか、利用料が払えない場合、退園を余儀なくされるのではないか―など、こうした課題を克服していくことを訴えました。
 討論のなかで、世田谷区では、認定子ども園について―公立幼稚園が廃止されて、2園つくられた。公立保育園について1年に1園の民営化をすすめられている。その流れのなかで保育の質を確保するため、営利企業・株式会社を参入させない―これを守らせてきている、という発言がありました。
 東京自治労連の代表は2006年4月の大阪高等裁判所、5月の横浜地方裁判所の判決で、父母の同意なき一方的な民営化は認められないとする判決が出されたこと、また、各マスコミも保育園の民営化を問題とする報道姿勢となっていることを指摘し、1人ひとりの子どもの成長に責任を負う保育の質を守り発展させていくとりくみに確信をもつこと。認定子ども園について、東京都は国規準をさらに下回る方向での認定基準とする「条例」をつくり、「認定子ども園」を推進しようとしていることを指摘し、公的保育に対する重大な影響を与える課題としてとりくもう―とよびかけました。

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鶯谷町で縄文・弥生時代の大集落の遺跡を調査
住友不動産のマンション建設予定地で発見

 区内鶯谷(うぐいすだに)町で住友不動産が建設を計画しているマンション予定地から縄文―弥生時代の集落の遺跡が発見され、6月10日から12月28日間での日程で調査活動がすすめられています。近隣住民は住環境を破壊する計画の中止と貴重な遺跡を守ることを訴えて運動を続けています。
     ◇
 縄文―弥生時代の大規模な集落跡地が見つかり、現在、発掘作業が進められているのは、渋谷駅と代官山駅の間にある鶯谷町の高台にある住宅地。外国人むけの高給住宅「エバーグリーンパークホームズ」跡地です。
 敷地面積1万7千平方メートルの広大な住宅地に住友不動産が地上6階地下2階の賃貸住宅を10棟(153戸)を建設するため、去る3月7日から27日の試掘調査をおこなったところ縄文―弥生時代の住居跡や土器、石器片などが発見され、本調査がおこなわれることになったのです。
 6月から現在までの調査活動の結果、1800~2000年前の竪穴式住居跡・約20戸と、高床式倉庫跡と見られる柱の穴が見つかったほか、土器の破片や石製の矢じり、おのなども発見されました。
 また、4000~4300年前(縄文時代中期)のものと見られる竪穴式住居も発見され、代々木八幡遺跡とほぼ同時期の集落遺跡と思われます。また、近くの弥生時代の遺跡である猿楽遺跡とのかかわりについても解明される必要性が指摘されています。
 発掘調査にあたっている人は、「長野県で使われていた土器類が見つかっており、広域的な交易が行われていたと思われます。これだけ大規模な縄文―弥生時代の遺跡は、23区のなかで数ヵ所しか発見されておらず、貴重な遺跡」と指摘します。
 住友不動産は、年内に発掘調査を終わらせ、新年からマンションの建設工事に踏み切る予定です。また、区は発掘された土器など文化財の保存と記録保持の指導だけにとどめようとしています。
 近隣住民は、「鶯谷地域は緑に囲まれた静かな低層の住宅地.マンションが建設されれば貴重な遺跡が破壊され、住民の日照やプライバシーも奪われる」としてマンションの建設中止と遺跡の保存を求める運動をすすめています。

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