とまとニュース電子版 2008年8月分

 とまとニュースは、「しんぶん赤旗」折り込みで読者の方にお届けしているトマ孝二事務所ニュースです。
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No.915 2008年8月31日

後期高齢者医療制度廃止法案 臨時国会で可決を
運動と世論を広げ希代の悪法を廃止しよう

 政府・与党は25日、9月12日に招集する臨時国会について、11月20日までの70日間とすると決定しました。この国会の最大の焦点のひとつは、先の通常国会で参議院で可決しながら継続審議となった「後期高齢者医療制度廃止法案」です。
     ◇
 日本共産党は、後期高齢者医療制度について、2006年にこの制度が健康保険法の改悪と併せて出されたさいに「うば捨て山のようになる」と指摘し、その導入に反対しました。
 そして昨年11月と今年5月に、制度の中止・廃止を求めるアピールを発表。先の通常国会の論戦でも、4月から実施されるこの制度が世界でも例のない高齢者への差別医療を強いるものであることをはじめ、75歳以上の人口が増えれば保険料が自動的に引き上がる仕組みであることなどの問題点を徹底的に追及してきました。
 日本共産党のたたかいと国民運動の盛り上がりが、野党4党共同の「廃止法案」の提出、参議院での可決という状況をつくり出し「臨時国会でぜひ『廃止法案』の可決・成立を」という世論となっています。
 じっさい、後期高齢者医療制度反対・廃止を求める国会の署名は全国で600万人を超えています。また、制度の見直し、廃止を求める決議や意見書を可決した地方議会は、3分の1を超える638議会(中央社会保障推進協議会調べ)に広がっています。
 さらに、全都道府県の4分の3、35都府県の医師会が、この制度に対し見直しや反対の意見を表明。東京都医師会では、新聞の1面の意見広告を出し、制度の見直しを強く政府に迫っています。
 渋谷の場合、10月から後期高齢者医療制度の保険料徴収が実施されます。その保険料額について7月16日に各対象者のもとに送付。それが届いた直後から区役所の高齢者サービス課の窓口に抗議と苦情の声が殺到。7月末までその数は4165件に達しました。実に対象の23%の人が怒りの声、批判の声をあげているのです。
 しかし、舛添厚生労働大臣は、「75歳以上を制度上で区切ることにはきわめて合理的な理由がある」などと述べ、また、公明党の井上義久副代表は「後期高齢者医療制度は7、8割の人が現実に負担が減っている」などと強弁し、この制度を擁護しています。
 民主党は、先の通常国会では、「廃止法案」を提出しながら、問責決議可決以降は、衆議院での審議を拒否する態度をとりましたが、臨時国会では冒頭からの審議に応じる姿勢を示しています。
 いよいよ正念場の臨時国会が開幕します。希代の悪法・後期高齢者医療制度を一刻も早く廃止させるため、運動を広げ、世論を高めるために奮闘しましょう。

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ロシア・シベリア抑留者の実態と慰霊碑を訪ねて
イルクーツク市民霊園の墓地は碑銘もなく

 トマ孝二議員は、8月10日から17日の日程で加藤慧日本共産党笹幡2・3丁目支部長をはじめとする14人の仲間とともに、シベリア抑留者の実態とそこで亡くなった人びとを慰霊する「イルクーツク・バイカルの旅」に行ってきました。その旅で見た5カ所の墓地のようすについて報告します。
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 ロシア・シベリアに抑留され、2年から4年間、強制労働を強いられた日本兵は約60万人といわれています。そのうちの約6万人が氷点下3、40度の酷寒と飢餓、過酷な労働によって生命を落としました。
スターリンの犯罪行為
 こうした事態が起きたのは、第1に捕虜のすみやな返還を求めた国際法に違反したスターリン(旧ソビエト連邦の最高指導者)の犯罪行為にあります。同時に天皇制を守るために当時の支配層が日本兵を「帰還までの間におきましては、極力貴軍の経営に協力する如くお使い願いたい」とソ連側に願い出たことにあります。
 捕虜となった日本兵は、中国各地や朝鮮などから旧ソ連の約2000カ所の収容所に連行され、鉄道の建設や炭鉱作業、森林の伐採作業、農作業などをさせられました。
 私たちが訪ねた加藤慧支部長が抑留されたイルクーツク市(現在人口66万人)には、18の収容所がつくられ、18,000人余が抑留され、そのうち1511人が命を落としたと言われています。
 それらの収容所はすべて取り壊され、ロシア人のガイドのナターシャさんの説明では、現在、その足跡を発見することは困難だ、とのことでした。
安らかに眠って
 しかし、イルクーツクには、3つの日本人墓地があり、ちょうど旧盆の13日、それらの墓地を訪ねました。1つ目と2つ目は、イルクーツク市から車で1時間半ほどにあるウエリェ・シビールコエの唐松林のそばに並んであり、その2つの墓石に「安らかに眠ってください」という墨字の真新しい木板が掲げられていました。
 イルクーツクの市民霊園の一角に、406人が埋葬された3つ目の墓地を訪ねたところ、墓は1つにまとめられ、1基ごとに埋葬者の氏名を刻んだ金属板があったといわれていましたが、それらはいっさいなく、また、日本人の慰霊碑とわかる案内板や日本語の文字もまったくありませんでした。
 翌々日の15日、バイカル湖畔のリストビヤンカ村の日本人墓地を訪ねたところ、ここは村の丘陵地にある市民霊園の一角に2メートルもある大きな石碑にやや不確かな名でありましたが、60人の日本人の名前がカタカナで刻まれていました。私たち一行はここで亡くなった人のめい福を祈りましたが、少なくとも、この程度のものは、日本政府としてもつくるべきではないかと思いました。
 このほか、旅行の2日目、ウラジオストック市街から空港に向かう途中、日本人墓地を案内してもらいました。この墓碑は平成11年(2000年)に建立されたもので、この墓碑を建設した会の会長さんは茨城県ひたちなか市の人であることが記されていました。

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後期高齢者医療制度に怒り、不満が爆発
保険額通知書に対する抗議・問い合わせが4165件

 渋谷区は去る7月16日に、75歳以上の高齢者1万8166人に対し、10月から徴収する「後期高齢者医療保険額納入通知書兼決定通知書」を送付しました。これが届いた直後の17日から区役所の高齢者サービス課に問い合わせや抗議の声が殺到し、18日や22日は700件を越え、その数は7月中に4165件、対象者の22.9%にものぼっています。
     ◇
 「後期高齢者医療制度」は、75歳以上の高齢者を対象に、これまでの医療制度からはずし、高い保険料を押しつける一方、受けられる医療を制限するためにつくられたひどい制度です。
 ことしの1月と4月に75歳となったAさん一家の場合、娘さんはAさんの扶養となっているので国民健康保険制度に残り、その保険料は3万6900円。ところがAさん夫妻は後期高齢者医療制度に移され、その保険料は合計で22万1千円。3人合わせるとその保険料は25万7千円となりました。
 また、渋谷民商元会長の石川清さんの場合、昨年度の夫婦2人の国民健康保険料は、7万8千円でした。後期高齢者医療保険料の通知額は19万円で、2.4倍にもはねあがりました。
 このような重い負担を押しつける後期高齢者医療制度に対する怒りや不満は強く、「通知書」が届いた17日から、区役所高齢者サービス課には抗議や怒りの声が殺到。17日には電話で455件、窓口に来庁70件の合計525件、18日には電話と来庁が772件あり、土日にも区役所に電話と来訪で71件、連休明けの22日には712件、23日には625件、24日は473件、25日は356件にものぼりました。
 28日以降、やや少なくなりましたが、それでも28日は211件、29日176件、30日140件、31日104件と7月中の問い合わせ、抗議の件数は、窓口763件、電話3402件の合計4165件、対象者の実に22.9%の人が怒りを爆発させたのです。
 8月2日に改造福田内閣がスタートし、8月末ないし9月初旬に臨時国会が招集される見込みです。この国会では、参議院で可決され、衆議院に送られた「後期高齢者医療制度廃止法案」が審議されます。
 福田内閣は、負担軽減策を実施したことを理由に、後期高齢者医療制度を存続させようとしています。しかし、政府の軽減策について毎日新聞の世論調査で「評価する」と回答した人は、4割しかありません。
 渋谷区の状況でも明らかなように、この制度への怒りは強く、圧倒的国民は「廃止」を求めています。臨時国会に向けて世論をさらに盛り上げ、必ず「廃止」させようではありませんか。

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民間委託をやめ直営方式に変更した小樽市立博物館
市民の意見を取り入れ、楽しく学ぶ施設に

 前号に引き続き、トマ孝二議員が参加した渋谷区議会文教委員会の行政視察の調査結果について報告します。今回は北海道小樽市の「アーティスト・バンク制度」と「市立総合博物館」についての調査レポートです。
     ◇
 北海道小樽市は道庁のある札幌市と隣接する港町。大正時代から昭和初期にかけては商工業が盛んで流通の一大港湾都市として栄えました。戦後は、商工業が衰退していくなかで20万人を超えていた人口が現在は、13万7693人((2008年3月31日)にまで落ち込み、その減少傾向に歯どめがかかっていません。
 さて、私たちが調査した「アーティスト・バンク」(芸術家登録制度)は、2年前の3月に制定された小樽市文化芸術振興条例にもとづき設けられたユニークな制度。
84団体が登録
 小樽市には、プロやアマチュアを含め、音楽・演劇・絵画・工芸・文学など、さまざまな分野で文化・芸術活動に打ち込んでいる人が大勢います。そうした人達に活動を広く市民に紹介し、活動を支援するためにつくられたのです。
 登録できる人は、市内に在住している、または主に市内で活動しているアーティスト。音楽をはじめ、舞踊、演劇、絵画、陶芸、ガラス工芸、文学など84団体(団体47件、個人37件)が登録されています。
 登録者の特典としてあるのは、ステージ発表会や作品展示会などに対する市民会館や総合体育館などの施設の使用料金が一割引きいなることだけです。
市として格付けはしない
 文化芸術行政の対象を団体から個人に広げようと始まった制度ですが、市としてアーティストの格付けはしない、連絡や公演依頼などに介入しない―あくまでアーティストの評価や連絡は市民に任せる方針です。
 次に視察したのは、市内手宮地区にある小樽市立総合博物館。この博物館は、旧鉄道博物館を改修して、子どもたちが科学を楽しく学習できる音・光・力・電気に関する展示室も置かれています。
 しかし、目を引くのは日本で2番目に敷設され、北海道開拓のけん引車となった鉄道に関する資料。館内に入ると、迎えてくれるのが、明治18年(1885年)に手宮に陸あげされた蒸気機関車の「しづか号」。そして、明治期の手宮駅構内のパノラマ模型、蒸気機関車のナンバープレート、時刻表などが展示されています。鉄道ファンにはたまらない展示室です。
 また、館外は、広い敷地いっぱいに、除雪車をはじめ、ジーゼルエンジンの車両などが配置され、とくに、人気なのは百年前に製造された蒸気機関車を実際に走らせ、無料で乗せるコーナーです。
 この博物館の運営は民間委託されましたが改修を機に市の直営施設に変更。市民の意見をどんどん取り入れ、楽しい博物館に大変身しました。案内してくれた土屋周三館長は自信たっぷりに「その成果を観に5年後にまた来てください」という言葉には、何でも民営化という路線は誤りだという思いが込められていました。

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